『ランで旅する。』

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UTMB2013(ウルトラトレイルデュモンブラン)奮戦記3

UTMB2013(ウルトラトレイルデュモンブラン)奮戦記3

ようやくエイドに着き、一段落。この段階でトレイルランニングで初めて

”リタイア”

を考えた。

この時の思いは本当に複雑で様々だった。。。

「もう100kmも越えて十分がんばったよ。」 
「なかなかきついコースだったけどまた次回がんばればいい。」
「せっかくこの地まで来て完走しないことは必ず後悔するぞ。」
「ー脚が動かない以上やむを得ない。神様の思し召しだよ。」

などなど色々とよぎった。ただ、なんのためにモンブランまで来たのか? このレースに出たのか?と考えたときに

”完走するため”

に来たんだと。0か1しかないと強く思った。とは言え、脚が痛すぎる。。。
ひとまず、ロキソニンを2錠口に入れて少し食事をとり、様子を見た。

20分程度過ごして脚を動かしたがやはり痛い。しかし先ほどよりはましかなと心に強く思い、次のエイドChampex Lacではサポーターも待っていてくれているのでなんとかがんばろうと思いでスタート。

しばらく、街中の平地を歩きトレイルに入る下りの最初の一歩で激痛が走った。。。。。。これはこの先14kmは無理だという思いに至り、先ほどのエイドにリタイアを告げるために戻ろうとした。

その際にふとメディカルステーションがある事を思い出した。そこに相談してだめだったらホントにリタイアしようと決め、メディカルステーションへ。。。。。

早速右足首を示し、 My ankle is damaged. Oh No….と伝え早速見てもらった。足首をまわされ、押されて、反応を示して症状を理解してもらい、テーピングの処置をしてもらった。

足首をのばした時と縮めたときに強い痛みとなることがわかった。(ようは足首が動いたら痛いということです。)足首が極力動かないように固定してもらい、さらにスーパー痛み止め2錠をもらい、飲んだ。

これにより、奇跡のカムバック。。。。先ほど激痛が走った下りの最初の一歩も痛みなく降りる事ができた。何とかなるという感触を得る事ができ、メディカルステーションのおじさんにはただただ感謝するばかりです。

ホントにありがとうございました。

なんとか動けるようになったがとても走る事ができないのでここからはひたすらウォーキング。はじめは川沿いの緩いトレイルを下り続け、街に出る。その頃にはあたりは暗くなり始めてきた。標高は1,151mまで一度下り、そこからまた 1,477mまであがる。この上りが既に暗くなっていたせいもあるがどこまで登らせるだろうと全く見えてこない。とても長い上りと感じた。

リタイアするか否かを迷い、メディカルステーションに助けられたから約4時間。ようやくChampex Lacに到着。122km 1,477m地点。ここでパートナーに会うことができ、「リタイアするか前のエイドで悩んでいた」と告げてかなり驚かれた。いきさつは先ほどの内容を伝えた。

とにかく、移動ができて脚の痛みも痛み止めが効いているのもあるがいけそうなので引き続き進める事にした。このエイドではパートナーが持っていてくれた” 赤いきつね ”を頬張る事にした。しょっぱい汁が飲みたかったので楽しみにしていたがこの段階で既に味覚がおかしくなってい本来の赤いきつねの味ではなかったが他のエイドのものに比べては抜群に美味しかった。

ゆっくりしたかったがあまり時間的にゆとりがないために休憩もそこそこにしてスタートする事にした。これから大きな山を三つ乗り越えてゴールである。まだ三つか。。。。ここからの2つの山は完全に眠さとの戦いでした。おそらく、この2つの山で1時間半から2時間は寝ていた事になると思います。

まずは1つ目の山。

完全に真っ暗で人の流れについていくように歩いていたが途中、立ち止まり夢の世界に入る。 ” ここも通るべきだけどあっちも行くべきだよ ”みたいなささやきがあり、今どこを歩いているのか?わからずに右往左往している時が何度もあった。立ち止まって寝ていると通過していくランナーに声をかけられて一瞬我を取り戻し、その人たちについていくのだがまた同じような夢の中に。。。。

これを繰り返しながら脚を前にすすめて頂上であるBovineでチェックがあり、門をくぐった。(記憶正しいかな???)その後、700mの下りだが当然駆け下りる事ができないのでゆっくりと歩いて降りる。この下りは長かったという記憶しかない。139km 1,300m地点のTrientのエイドに到着。

ほとんど眠りの中だったため、なんだかわからず到着した感じ。ここではあまり休まず、次へ進む事に。ここも暗い時間だったために景色の記憶は全くないがここもとにかく夢の世界。ここでの妄想が一番ひどかった。

そこを登っているとき、私はそこの山の主らしく、全部登らなくても登った事になるから大丈夫ですと言われる。とそこで脚を止めて下り始める。しかし、このまま下ったら誰が登った事を証明してくれるんだよ。。。とこの現実と夢の世界をずっと行き来しながら、登っていった。10歩歩いては立ち寝するを繰り返していたと思われる。

頂上付近に近づきようやく意識を取り戻し、進めるようになる。そのころにはうっすらと2回目の朝を迎える準備を始めている感じ。ようやく登りきった後に再び700mの下り。この下りがやや急で負傷の足首に負荷がかかりやすい坂であったが負荷を最小限にするように心がけて一歩一歩進めていった。なんとかなんとか眠さと痛みと戦いながら下りきり、149km 1,260m地点のエイド Vallorcineに到着。

あとはシャモニーまで一山越えて終わりのところまで来た!!!!ただし、すでに8時前(制限時間は9時15分)とあまり余計な時間がなかった。ただ、眠りながら来た甲斐もあり、少し元気になっていた。時間がない事からほぼ休まずにすぐスタートした。

2013-09-01 08.47.32
この時点で脚はそれほど問題はなかった。はじめは平地だったため、スピードウォーキングを実施した。最大限速く歩いた。
その後そびえ立つ最後の山 La Tete AuxVentsが目の前にすでに登っていくランナーたちが見える。

この上りは一般人も登れる道でクライミングの感覚で脚をのせる位置を見つけながら一歩一歩確実に登っていくという道であり結構楽しい上りと感じる事ができた。

2013-09-01 10.32.14
登っているうちにグランドジュラスからモンブランと次々とそびえ立つ名山が見えてきました。 頂上に着くとしばらく素晴らしいトレイルコースが続きます。左手に名山を見ながらゆっくりと下るトレイルコース(やや石や岩が多いが)抜群の景色でした。そして、最終ゴール地点のシャモニーの街が左下前方に見えてきました。

ようやくここまで来たかぁ!!といった感じ。このころはもう喜びでいっぱいでした。

景色を味わいながら最終エイドに到着ここでガスウォーターをいただき、

いよいよラスト8kmの下り。下っていくほどに人が増えてきて応援の声がアレアレーやガンバガンバなど日本語でがんばってと声をかけてくれる欧米人も多くいた。

やっとゴールだぁという思いで少しずつ早足で下る。

そしてようやく街へ。。。。

街に入り、エントリーしたか以上近くの川沿いに到着。そこでパートナーも待ってくれていて大勢の方々が出迎えてくれた。

この時、不覚にも涙が溢れ出てしまった。その涙は止めようと思っても止まらずに恥ずかしかったが仕方がない。。。。

終わってしまえばあっという間だったが振り返るとそれそれは過酷なレースだった。がんばった自分へサポートしてくれたパートナーへ応援してくれた友達へなど色々な思いが一気にこみ上げてきてしまった。。。

今までのレースで涙を流した事などは当然ないのですが今回はそれぐらいきついレースであったのだと改めて感じた瞬間であった。ただ、その沿道はとにかく人であふれているので涙を流しているのはとにかく恥ずかしいので涙を拭き取り、手を挙げて笑顔にかえてゴールまで走っていった。時間も12時近くと人が多くいる時間であったので最高の時間を味わう事ができた。

本当に祝福されている感を味わえた10分間の最後のコースであった。

そして、ゴール!!!!!!

時間は44時間30分。

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想定していたタイムより7時間遅れてのゴール。想定していたタイムの根拠などないのでどうでも良いだが。。。なんとか、ゴール完走を果たす事ができた。まさに感無量。

今までの人生でこれだけの達成感はないと間違いなく言える。そんな瞬間であった。現在、レースを終えて4日経つがまだ興奮が収まっていない。。。。

このシャモニーの地まで来てこんな過酷なレースに参加できた喜びとともにそれが実現できた事に感謝したい。主催者側へはもちろんこのようなレースへのきっかけを与えてくれた方々長期の休みを与えたくれた会社の方々このような地へのレースへの参加、サポートをしてくれた家族、本当に感謝し尽くせない思いでいっぱいです。

本当に素晴らしい体験をさせてもらいました。ありがとうございます。

レース後の足首です。右足首は異常な腫れです、、、、、
2013-09-01 21.51.42

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ざか

ブログ運営者の石坂晏敬(ざか)です。 ウルトラトレイルノマドランナー、多拠点居住研究家、山手線一周ランニング倶楽部主宰、ブロガー、投資家 2008年からのトレイルランニングの世界に魅了されて、数々の大会に参戦。2010年のハセツネを完走し、2012年から始まったUTMF(Ultra Trail Mt. Fuji)100マイルレースに参加し始めて第1第2大会を完走し、その流れでフランスシャモニーで開催されるUTMB(Ultra Trail MontBlanc)というヨーロッパ1高い山モンブランの周りの山をフランス、スイス、イタリアの三国にまたがって100マイルレースも完走を果たす。 この経験が後押しして”世界中特にヨーロッパをランで旅したい”という思いが強くなり、それを実現すべく2014年にサラリーマンを辞めて、ノマドワーカーとしてしっかりと稼ぎを得ながら、ノマドランナーとして世界中を『ランで旅する。』に向けて活動中である。詳細のプロフィールはコチラhttp://nomadrunner.com/profile
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